秋の夜長である。明日のことなど考えなくてよい日には、日本酒である。
高橋みどりさんの『酒のさかな』(メディアファクトリー)を読んでいたら、たまらなくつまみを作って日本酒を飲みたくなった。
つまみ① ごぼうと豆腐の卵とじ
ささがきにしたごぼうを水にさらし、だしで煮る。酒を加え、やわらかくなったら薄口しょうゆ、みりん。豆腐をくずし入れ、卵でとじる。刻んだ三つ葉をのせて完成。
豚バラ肉薄切りを半分にカット。塩・胡椒してフライパンでソテー。酒としょうゆで調味する。
大根おろしでさっぱりといただく。
これは友人のお母さんがよく作るものを教えてもらった。
おつまみ売り場に売っているいかの燻製(輪ゴムみたいなやつ)とざく切りにしたセロリを混ぜて胡椒、オリーブオイルで和えてしばらく置いただけ。
つまみ①、②は前述の『酒のさかな』を参考にしてます。
日本酒は吟醸酒より、純米酒のほうが日本酒っぽくて好きだ。
本日のお酒は『天狗舞』。
壜から直接、というのは味気ないので片口を使う。
これは古伊万里の蕎麦猪口(というか向付)だが、高台が付いているのと小ぶりなサイズがぴったりなのでもっぱらぐい呑みとして使っている。
外の風が肌寒く感じられるくらいの夜。
あー。お酒が沁みます。おいしいおつまみ。お酒をちびり。
秋の夜は長い。
好きな映画に『シェフとギャルソン リストランテの夜(原題はBIG NIGHT)』というのがある。イタリアからアメリカに移民してきた兄弟の話で、ふたりでイタリア料理店を始めるのだけれど、これが一向に流行らない。兄のプリモは故郷では料理の天才といわれるほどの腕前だが、自分の料理をアメリカ受けするように変えたりすることは好まない。
こんなシーンがある。
アメリカ人夫婦の客はリゾットを注文したがスパゲティーがついていないことに不満な様子。料理の添え物だと思っているのだ。コメもパスタもデンプン質なので合わないのだと説明しても、このアメリカ人夫婦はどうも腑に落ちないという表情をしている。
-「欲しいなら注文しろよ ミートボールのを」
-「ミートボールのはありません」
-「スパゲティーは?」
-「ミートボールとは別です」
-「ああだこうだとうるさい店だ」
このシーン、アメリカ人の味覚音痴を揶揄するようなシーンで、この「ミートボールのスパゲティー」というのもこのセリフの中以外では登場しない料理なのだけれど、ものすごく惹かれてしまった。「ミートボールのスパゲティ」に。食べてみたくなった。だからイメージで作ってみた。ミートボール入りのナポリタンをケチャップでなく普通のトマトソースで作るだけなのだけれど、とても気に入っていてよく作る。パスタをつくって人にご馳走する機会は多くても、これだけはまだ誰にも食べさせたことがない。自分しか知らないメニューだ。
材料(2人分):たまねぎ1/4、マッシュルーム3~4個、ピーマン1個、イシイのおべんとくんミートボール1袋、ホールトマト缶3/4、にんにく2かけ、オリーブオイル(EXバージン)、スパゲティー
にんにくは包丁の腹でつぶす。たまねぎはくし型、マッシュルームは薄切り、ピーマンは輪切りにする。ホールトマトは手でつぶしておく。
フライパンににんにくとオリーブオイルを入れ、火にかける(フライパンを傾けてオイルでにんにくを揚げるようにする)。
にんにくがきつね色になったらたまねぎとマッシュルーム、ピーマンを入れて炒める。たまねぎが半透明になったらミートボールをいれ白ワインをふりかける。
ワインの水分が飛んだらつぶしておいたホールトマトを入れ煮込む(煮込んでいる間にパスタを茹でる)。ソースが煮詰まってきたらパスタの茹で汁でのばす。塩・胡椒で味を調える。
茹で上がったパスタとからめて完成。
この『シェフとギャルソン リストランテの夜』、おいしそうな料理がたくさん出てくる。レストランが舞台の映画だから、当然といえば当然だけれど。
一番心惹かれた料理は、ラストシーンでセコンドが作るオムレツ。バターじゃなくてオリーブオイルで作っている。イタリア人はオムレツもオリーブオイルで作るのか・・・?
どちらにしても早朝の静謐さと相まって、何ともリアルにおいしそうなのだ。
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『Pocketful of Poetry』
Mindy Gledhill
この数ヶ月、僕は「ミンディ・グレッドヒルは分かってる!」と叫び続けてきた。この人のアルバムからはポップってのはこういうものさ、という自信が滲み出ていると思う。tr. 2『Trouble No More』がツボ中のツボ。僕の好物ばっかりいっぱい詰まってる。決して大袈裟な表現ではなく、棄て曲なし、最高に幸せな30分あまり。
『D'ACCORD』
SERGE DELAITE TRIO with ALAIN BRUEL
アトリエサワノのピアノトリオが大好きです。2枚同時発売のうちの1枚。これはピアノトリオにアコーディオンを加えた演奏。明るい休日のランチ。冷えた白ワイン飲みたくなる感じ。
J.S. Bach/Goldberg Variations
Simone Dinnerstein
ゴルトベルク変奏曲からグールドの影を拭いきれないのは仕方がない。この人の演奏には”脱・グールド”みたいな気負いはなく、曲に対してもグールドに対しても愛情に満ちていて、丁寧で、やさしくてすごく好きです。