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トマトを買いに出かけて、なんとなく立ち寄った魚屋さんで、あんまりいいブリがあったので買う。照り焼きもいいけれど、こっくりと煮物もいいなあと思って大根を買って帰る。 帰ってきて思う。僕はブリを買うつもりじゃなかったんだ。
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 『HIGH WINDS WHITE SKY』

Bruce Cockburn

 

 

出会いのもの、という言葉がある。

このBruce Cockburn(ブルース・コバーンと読むらしい)との出会いはまさにそんな感じだった。

西荻の古本屋『音羽館』にいたときのこと。店内にこのアルバムが流れていて、耳を奪われてしまった。もう本を物色するどころではなくなって、ずーっと耳をそばだてていた。静かな歌声も、シンプルなアレンジもよかった。誰なんだろう?

お店の人に聞いたら快く教えてくれました。すぐに買いに行った。

ブルース・コバーンはカナダ出身のシンガー・ソングライターで1970年にデビュー、現在も現役で活躍している。この『HIGH WINDS WHITE SKY』は1971年の作品。

この人の落ちついた歌声も魅力のひとつだけれど、ギターのテクニックが特筆すべきだと思う。(おそらく)オープンチューニングを使った開放感のある響きなんかは楽器の特性を生かした素晴らしいアレンジでしょう。

1曲だけ(trk.5『GOLDEN SERPENT BLUES』)、ピアノ弾き語りの曲があるが、これがギターの上手さに好対照で実にひどい。ヤケクソで鍵盤を叩いているような感じ。でも実はこの曲が大好きです。

 

 

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名前を聞いただけで心が躍ってしまう料理というものがある。

僕にとってオムライスはそのひとつだ。

ケチャップだけのシンプルオムライスもいいけれど、デミグラスソースのかかった濃厚なオムライスは素晴らしいご馳走だと思う。

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まずはデミグラスソースを作る。

材料はたまねぎ1/4、しめじ・マッシュルームを適当に、缶詰のデミグラスソース、バター。

 

 

 

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バターとサラダ油を熱して、くし型に切ったたまねぎを炒める。

 

 

 

 

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たまねぎが半透明になったら、しめじ・マッシュルームを入れて白ワインをふりかける。

 

 

 

 

458232c1.jpgデミグラスソースを入れ、赤ワインを入れる。

適度なとろみがつくまで煮詰めて完成。

 

 

 

 

つづいてチキンライスを作る。

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材料は、鶏むね肉、たまねぎ、ごはん。

たまねぎは細かめのみじん切り、鶏むね肉は1cm角に切る。

 

 

 

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フライパンで、鶏むね肉とたまねぎを炒め、鶏肉に火が通ったくらいでごはんを入れる。

へらでごはんを切るような感じで炒めて、ほぐれたら塩・胡椒で味付けをしてケチャップを入れる。

ケチャップは入れすぎるとべちゃべちゃになってしまうので少なめに。色が全体にまわるくらいでOK。

 

ここでチキンライス完成。

ここからは正念場。『たまごでくるむ』の工程に入ります。

b7f715c4.jpgたまご2個にパルミジャーノレッジャーノのすりおろしを加える。泡立て器で混ぜると白身のコシがよく切れる。

バターとサラダ油を入れたフライパンにたまごを流し入れ、かき混ぜる。

半熟になったらフライパン全体にたまごを広げて、真ん中にお茶碗1杯分のチキンライスを乗せ、くるむ。

 

 

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オムライスをうまくくるむのは、やっぱり難しいと思う。

テフロン加工のフライパンを使えば失敗は少ないけれど、それでも成功率は70%くらいか・・・。

たまごの表面に焦げ目がついているのはイヤなので(香りがどうも貧乏くさくなるというか・・・)、きれいな黄色のオムライスを目指したい。

ちなみに右上にちょこっと写っているサラダはコンビニの出来合いサラダです。

 

 

 

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いしいしんじ『麦ふみクーツェ』(理論社)を読んだのは、去年の今頃だったと思う。

土曜日だというのに会議に招集され、ぐったり、いやあな気分の帰り道、本屋さんに立ち寄って見つけた。いしいしんじの名前は知っていて、ずっと読んでみたいなあと思っていた。

本当は『ぶらんこ乗り』を読みたかった。でもそのときはたまたま売ってなくて、この『麦ふみクーツェ』を手に取ったのだった。

そのまま西荻窪の『戎』に寄って、ビールを飲みながら読み始めたのをよく憶えている。土曜の夜。ガヤガヤとうるさい店内。大ジョッキ(『戎』には中生がない)。

「麦ふみのことなんてなにもしらなかった。」

この出だしを読んだときに、「ああ、いける」と思った。あとはもうぐんぐん惹きつけられていった。この本は、食べ物をおいしいと感じるとか、色をきれいだと思うとか、音楽を美しいと思うとか、人のことを思うとかそういう感動の根っこの部分をきちんと捉えていると思う。

もう、感動する場面がたくさんあってキリがないという感じだけれど、特に『へんてこさに誇りをもてる唯一の方法』のところは、もう!ここを読んでいるとき、僕は東西線に乗っていて(仕事で移動中)、茅場町あたりで思わず涙が出てきて自分でもびっくりした(僕は人前で泣いたりすることは、まずない)。欠伸をしたフリをしてごまかしたけれど、さぞかしおかしな態度だったろうと思う。誰も見ちゃいないと思うけれど。

「ねえ先生」

とぼくはいう。「みどり色は何十万にひとりなんかじゃない。この世でたったひとりなんだ。ねえ、ひとりってつまり、そういうことでしょう?」

先生はなにもいわなかった。こたえをかえすかわり、鏡なし亭につくまでのあいだクッションのきいた座席の上で、ずっとぴょんぴょこ跳びはねていた。

その後、いしいしんじは僕の大好きな作家のひとりになった。一冊一冊丁寧に読み進んだ。それでも『麦ふみクーツェ』が一番のお気に入りだ。人生のベスト3に入るかも、と思っている。

 

 

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寸胴鍋の中で、ぐつぐつと煮えているもの。

それは布巾である。

布巾についたトマトソースや赤ワインは、ちょっと洗ったくらいでは落ちやしない。汚れた布巾はまとめて洗剤で煮てしまう。

この方法は、学生のころアルバイトをしていた喫茶店で覚えた。閉店間近になると、その日使った布巾を寸胴鍋に入れて、洗濯用洗剤を少し入れてぐつぐつと煮てしまうのだ。その後水洗いして乾かす。

この方法は煮沸消毒ができるし、トマトやワインの汚れもきれいに落ちていいのだけれど、それより何より乾いた後のさっぱり感が違う。カラリと乾いていかにも清潔なのである。ちょっと面倒くさいと思うかも知れないけれど、このカラリ感はやみつきになる。

石井好子『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』(暮らしの手帖社)にはこうある。b2963c17.jpg

『…食事につかうテーブルクロスやナフキンは、週に一度大きなタライの中で煮るのだった。赤ちゃんのうぶ湯ぐらい使わせられるほど大きなタライによごれものを入れ、石けんの粉をふりかけて、上からお湯をひたひたになるまでそそいで火にかけ、ぐつぐつ中火で20分ぐらい煮る。

ときどき長い棒で上からつついたり、よごれものをひっくりかえしたりして、それがすむと水洗いするのだが、不思議なほど真白に、きれいによごれがおちていた。

これはテーブルクロスやナフキンにかぎらず、フランスの主婦が木綿ものを洗たくするときの方法で、十年一日のごとく、こうして洗いものをする。』

 

そう。きれいになるのだ。不思議なほど。

僕はフランスの主婦じゃないけれど、これを繰り返す。十年一日のごとく。

東京・三鷹市井の頭というところに住んでいる。最寄り駅は井の頭線の三鷹台駅。吉祥寺から5分、渋谷・新宿からも30分足らずのところだけれど、けっこう田舎だ。

この間、三鷹台の駅前通りをひたすら南に向かってみた。自転車で。

結局、行き着いた先は京王線の調布駅だったわけだけれど、その途中の光景はなかなかのものだった。

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 田んぼ

 

 

 

 

 

304d3ca8.jpg 広い空

 

 

 

 

 

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 畑

 

 

 

 

 

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 萱葺屋根の家

 

 

 

 

 

 

僕は東京・中野の出身で、どんなに自転車を走らせても街が続く、という環境しか知らなかった。自分が住んでいるところから20分くらいでこんな場所があるなんて。『町のはずれ』という言葉を実感した。空が広い。視界が広い。

車の免許は一応持っているけれど、ほとんど乗ったことはない。車も持っていない。必要がないからだ。移動手段は(電車・バスのほかは)もっぱら自転車だ。移動距離に限界はあるけれど、自転車のいいところは空気感を感じながら走ることができることだと思う。

そんなことを思いながら、まるで夏休みの小学生のように自転車で疾走する30歳である。

 

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つまんないこと なんだか嫌なこと わけもなくイライラすること

みんな自転車が追い越して 僕の横を流れていく

(『自転車疾走シーン』より)

 

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『Pocketful of Poetry』
Mindy Gledhill

この数ヶ月、僕は「ミンディ・グレッドヒルは分かってる!」と叫び続けてきた。この人のアルバムからはポップってのはこういうものさ、という自信が滲み出ていると思う。tr. 2『Trouble No More』がツボ中のツボ。僕の好物ばっかりいっぱい詰まってる。決して大袈裟な表現ではなく、棄て曲なし、最高に幸せな30分あまり。

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『D'ACCORD』
SERGE DELAITE TRIO with ALAIN BRUEL

アトリエサワノのピアノトリオが大好きです。2枚同時発売のうちの1枚。これはピアノトリオにアコーディオンを加えた演奏。明るい休日のランチ。冷えた白ワイン飲みたくなる感じ。

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J.S. Bach/Goldberg Variations
Simone Dinnerstein

ゴルトベルク変奏曲からグールドの影を拭いきれないのは仕方がない。この人の演奏には”脱・グールド”みたいな気負いはなく、曲に対してもグールドに対しても愛情に満ちていて、丁寧で、やさしくてすごく好きです。



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