ある朝、グレゴール・ザムザがなにか氣懸かりな夢から眼をさますと、自分が寢床の中で一匹の巨大な毒蟲に變つてゐるのを發見した。彼は鎧のやうに固い背を下にして、仰向けに橫たはつてゐた。頭を少し持ち上げると、アーチのやうにふくらんだ褐色の腹が見える。腹の上には橫に幾本かの筋がついてゐて、筋の部分はくぼんでゐる。腹のふくらんでゐるところに掛かつてゐる蒲團は今にもすつかりずり落ちさうになつてゐた。澤山の肢が彼の眼の前に賴りなげにぴくぴくと動いてゐた。胴體の大きさにくらべて、肢はひどくか細かつた。
フランツ・カフカ/高橋義孝訳 『變身』(新潮社、1952年)より
月曜の朝、僕は毒虫に変身していたわけではなかったけれど、強い吐き気とともに目が覚めた。
セキヤは毒におかされている!早く教会に行って毒の治療をしてもらわないと!1歩歩くごとにHPが減っていく!
*「されば わが きょうかいに
14ゴールドの ごきふを。
よろしいですかな?
*「しまった。円しか持ってないや…。
それはさておき、朝の6時30分から吐き続けた。下痢もひどかった。尾籠な話で大変恐縮であるが、便器はひとつ。吐瀉物と糞便のどちらを先に処理するか判断しないといけないくらいだった。
悪寒もひどくて、体中の関節が痛い。39℃近い熱もある…。
結局、月曜日はベッドとトイレの往復しかできず、熱で朦朧とする意識の中、水を飲んでは嘔吐と下痢を繰り返すという一日であった。記憶がほとんどない…。
翌日、病院に行って下された診断は、『ノロ・ウイルス感染症』(!)
遅くないか?流行ってたの、2年くらい前じゃ・・・。
冬場は流行るらしいです。インフルエンザを心配していたので、とりあえずよかったが(よくないけど)、どうも下痢や嘔吐が治まるまでは僕も感染源であるらしい。触ったドアノブでもうつる可能性があるとのこと。
そういえば、先月頭から引越しその他でずうっとバタバタしていたな…。引越しが終わって、片付けが済んで、日曜日に友人の結婚式が終わって、ひと段落と思った矢先のノロ・ウイルス攻撃であった。油断した。
もともと胃腸は弱い。年に1回はほぼ例外なくダウンする脆弱な肉体の持ち主である。ここはもう、神様が休めと仰っているのだと(都合よく)解釈して、静養させていただきます。というかそれ以外にできることはない。
それでも三日三晩かかって、ブログを書けるくらいまで回復してきました。
我が家のトイレで独り、僕の惨状を具(つぶさ)に見つめ続けていた健気で可憐なガーベラも、些か疲弊気味だ。
嫌なものを見せてしまったなあ、と思う。
*「たのもしき カミの しもべよ
わが きょうかいに どんな
ごようじゃな?
*「用はありません。休むだけです。神様の思し召しどおりに。
ケイの結婚式で挨拶させていただいた金谷です。
今年の夏、関谷さんほどではないですが、
似たような体験をしました。。。
ツラかったですね。
ブログをかけるまでに回復して良かったです!
年末は、胃腸も元気に過ごせますように♪
結局、会社は4日休んで何とか復活。後は平常どおりです。
おととしくらいに、ノロ・ウイルスが大流行したときに死者が出たと記憶してますが、実際に経験してみると体力のない子供やお年寄りなら確かに死ぬかもしれない、と思いました。同じような経験をしてるんだね…。辛かったろうと思います。もう二度とこんな目には会いたくないですね…。お互いに。
ところで、結婚式ではおつかれさまでした。
このブログでは、料理のレシピを中心にと思っていますが、最近料理関係の記事が少ないと思っていたところです。
金谷さんからのコメントをもらったので、次の更新の記事がたった今決定しました。
そう。あいつです。
これからもたまに覗きに来てください。
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『Pocketful of Poetry』
Mindy Gledhill
この数ヶ月、僕は「ミンディ・グレッドヒルは分かってる!」と叫び続けてきた。この人のアルバムからはポップってのはこういうものさ、という自信が滲み出ていると思う。tr. 2『Trouble No More』がツボ中のツボ。僕の好物ばっかりいっぱい詰まってる。決して大袈裟な表現ではなく、棄て曲なし、最高に幸せな30分あまり。
『D'ACCORD』
SERGE DELAITE TRIO with ALAIN BRUEL
アトリエサワノのピアノトリオが大好きです。2枚同時発売のうちの1枚。これはピアノトリオにアコーディオンを加えた演奏。明るい休日のランチ。冷えた白ワイン飲みたくなる感じ。
J.S. Bach/Goldberg Variations
Simone Dinnerstein
ゴルトベルク変奏曲からグールドの影を拭いきれないのは仕方がない。この人の演奏には”脱・グールド”みたいな気負いはなく、曲に対してもグールドに対しても愛情に満ちていて、丁寧で、やさしくてすごく好きです。