僕は特に『バス・マニア』ではない。
写真は、ミニ・カーである。
僕は特に『ミニ・カー・マニア』でもない。
では、なぜこんな写真を撮っているのか。
かわいかったのだ。すごく。この古いタイプの『関東バス』が。
僕は中野で生まれ育ったので、物心ついたときにはバスといえば京王バスかこの関東バスだったのだ。西荻に越して、さらに関東バスとの距離は縮まることになる。
西荻は関東バス率が高い。吉祥寺もそうだ。さらに家の前を通るバスは、他に何があろう、白地に赤の関東バスである。
昔、こんなやつがうちの前を走っていたなあ。(中野の実家の前はバス通りで、関東バスと京王バスが通る。)
フロントガラスが傾斜していて、入り口のドアがちょっと削れているこのカタチ。ディーゼルエンジンのうるさい音も、真っ黒な排気ガスも、霞の中のおぼろげな記憶だけれど、ちゃんと思い出せる。
そんなことを考えていたら、なんだか愛おしくなって買ってしまったのだ。
ミニ・カーを。
ところで関東バスとは切っても切り離せないものがある。
西荻窪駅前、『洋菓子のこけしや』だ。
関東バスの車体背面の広告スペースに、これでもかというくらい貼ってあるのが『こけしや』の広告だ。
これ。
この広告に見覚えがあれば、立派な関東バス人といって差し支えないと思う。
「パパ おみやげ忘れないでネ 洋菓子のこけしや 西荻窪駅前」
この文句を僕は何千回見ただろう。僕が憶えている限りデザインも同じだから少なくとも30年近くは継続していることになる。すごいことだ。
継続は力なり、である。
さて、一見古風な『こけしや』のケーキであるが、『地卵ココロール』というロールケーキが僕は大好きです。
あけましておめでとうございます。
さて、2008年最初の記事はネコである。お分かりかと思うが、僕はネコが好きだ。
年末年始は実家で過ごしているので(といっても自転車で30分くらいなのだけれど)、ここでひとつ家のネコを紹介しておこうと思う。
名を『はな』という。
まっくろネコであるが、首の下あたりにちょっとだけ白い毛が混じる。
1週間ほど前、5歳になった。
完全室内飼いの牝ネコである。
西荻のシロと好対照で、ムダに鳴く甘えん坊だ。
鳴けば何とかなると思っている。
ネコはほんとうに不思議な生き物だと思う。
こうして、窓の外をじっと眺めているとき、一体どんなことを考えているのだろう。
眩し…。
トレードマークの赤い首輪は先日切れてしまったそうだ。新しいものにかわっていた。
あしあと模様つき…。
我が家の北側のベランダはムダに広く、ガラクタ置き場になっているので、格好の遊び場となる。
室内ばかりではかわいそうなので、出して遊ばせてあげるのだが、誰か人が付いていないとイヤみたいで、ひとりでは遊ばない。わがままである。
この時期、ベランダに出るのはすごく寒い…。
ところで、はなが水を飲んでいるこの器は、絵織部の片口である。
ネコの水飲み用にとこの器を買ってきたとき、家族から呆れられたことは言うまでもない。
本年もよろしくお願い致します。
「シロやー、シロちゃーん。」
窓の外で管理人さんの声がする。わがアパートには管理人さんが世話をしている(と思われる)ネコがいるのだ。
ああ、今いるんだな。シロが。
このタイミングでいきなりカメラを持って外へ出るのもなんだかあやしい人みたいなので、管理人さんが遠ざかるのを待つ。
いました。
こいつは洗濯物を干しているとつまんなそうにこちらを見ていたりする。
ムダに鳴かないもの静かなネコ。
こちらを見ている。
カメラを向けると、必ずカメラ目線になる。警戒しているか。あるいはモデル気質か。
日向ぼっこしている。
おなかのあたり、なんかはみ出てますが…。
ネコは暖かいところを見つけるのが本当にうまい。
そろそろ起きるかー。
やはりカメラ目線である。
僕の行動範囲は、西荻窪と吉祥寺が90%くらいを占める。たまに中野に行くが、それは実家があるからだ。
狭い範囲を深ーく掘り下げるミクロ的生活を送っているわけである。ただインドアかというと実はそうでもない。
さて、そんな僕が旅をした。
といっても友人Hに誘われて、沼津に行ってきただけなのだけれど。
うまい魚を食べよう!うまいうなぎを食べよう!釣りをしよう!てな具合である。
釣りキチの友人Hは地元の釣り客からいろいろと地元情報を仕入れていて、穴場的名店をたくさん知っているらしい。
おいしいものに目がない僕である。勇んで出掛けて行った。
その結果は予想以上に素晴らしいものだった。
まずはランチ。
『魚河岸 丸天』の上刺身盛合せ定食(2205円)。
これが定食かよ!量もさることながら、新鮮さがすごかった。
もちろん定食だからこのほかに、ごはん・味噌汁(あら汁だった)・おしんこがつく。
生牡蠣。これで945円(!)。
時期のもの。すごく贅沢な感じだ。
そして名物『かき揚げ』(840円)。
何でこんな冗談みたいな形にしてしまったのか。
このかき揚げ、板さんがいないと作れないらしい。お店に到着したときには板さんがいなかった。
「今、買い物に出ちゃったけど、すぐ戻ってくると思うからちょっと待っててねー」と言われた。
ゆるい…。
もちろん全部食べました。
大食いの僕だが、さすがに苦しい・・・。
この『丸天』。工業団地の中にあって観光客はもちろんゼロ。地元の人がフラフラやってきて、食べて、「ごっそさーん」とか言って帰っていくみたいな店である。
店構えもなんか、きったない(失礼!)し、気の利いたところもないほんとにただの定食屋なのだが、出てくる料理はすごかった。
写真を撮っていたらお店の人は『こんなもん何で写真に撮るかねえ…?』的なリアクションだった。
さて、天気がよければここで釣りをする予定だったが、生憎の雨だったので、日本100名水にも選ばれているという柿田川湧水を見に行くことになった。
なかなか幻想的な光景だ。
水の色。水量の多い時期にはこれが噴水のように吹き上げるらしい。
ほんとか?
こちらは画面中央あたりの青っぽく見えているところから水が湧いている。
この右側あたりには白鳥がたくさんいた。
そぼ降る雨。寒々しい光景だが、実際に寒かった…。
この後、ちょっと休憩。車内で2時間くらい眠った。おなかがいっぱいすぎたのだ。そして温泉に入った。
さて、おなかも落ち着いたところでいよいようなぎである。
お店の名前は『花車』という。ここもまた地元客しか行かないようなお店なのだが、それはそれは美味であった。
うな丼。2150円(だったと思う)。
なんとうなぎの頭がついている。
たれは甘め。
何がすごいってうなぎの歯ごたえである。
ゴリゴリと強い歯ごたえ、甘めのたれに負けないうなぎの味。至福のうな丼でした。肝吸いもおいしかった。
実はこの『花車』、うな丼だけを頼んだのに他にいろいろサイドメニューが出てきて、その一品一品がまた実に秀逸であった(肝焼きやう巻きはお酒のお通しかも知れないですが)。
肝焼き、う巻き、ふろふき大根、そして白焼き。
すべて、ちょびっとずつ出てきて、メインが出てくるまでの間を持たせるのだ。特に白焼きには驚いた。その肉の旨みの強いことといったら!
もう、興奮気味でうまいうまい言いながら夢中で食べていたら、写真を撮り忘れました。
うな丼が出てきて、バシバシ写真を撮っていたら、大将が言う。
「うなぎ捌くとこ、見てくかい?」
もちろん拝見させていただきますとも!
これがうなぎを捌く包丁。
「ちょっと、手え出してごらん」
差し出した僕の手を、大将はこの包丁で切りつけた。
まったく切れない。
骨を切れるようではいけないのだそうだ。背骨と一緒に小さな骨も剥がせるように敢えて切れない包丁を使う。
さすがに手捌きは見事だ。
串打ち。
僕が料理をするのが好きだと言うと、大将は熱く語ってくださった。一方的に。
食べ物は文化である。文化のなくなった国は亡びるのだ。たとえ一杯の味噌汁でもお母さんの作った料理を食べていれば犯罪だって減っていくはずだ、と。今の日本はウソばっかりだ、と御仁は嘆いておられた。
「ねえ、セキヤさん。うまいものには理由があるんだよ。いくつものうまい理由が重なって本当においしいものができる。だから『何でうまいのか』をよく考えてそれをひとつひとつ積み重ねていかなくちゃ、うまいもんはつくれない。」
蓋し至言であろう。信念を持っている人の言葉には重みがあります。
充実した一日でした。食いだおれの旅であった。
明日から、またミクロ的生活に戻る。
友人H、本当にありがとうございました。
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『Pocketful of Poetry』
Mindy Gledhill
この数ヶ月、僕は「ミンディ・グレッドヒルは分かってる!」と叫び続けてきた。この人のアルバムからはポップってのはこういうものさ、という自信が滲み出ていると思う。tr. 2『Trouble No More』がツボ中のツボ。僕の好物ばっかりいっぱい詰まってる。決して大袈裟な表現ではなく、棄て曲なし、最高に幸せな30分あまり。
『D'ACCORD』
SERGE DELAITE TRIO with ALAIN BRUEL
アトリエサワノのピアノトリオが大好きです。2枚同時発売のうちの1枚。これはピアノトリオにアコーディオンを加えた演奏。明るい休日のランチ。冷えた白ワイン飲みたくなる感じ。
J.S. Bach/Goldberg Variations
Simone Dinnerstein
ゴルトベルク変奏曲からグールドの影を拭いきれないのは仕方がない。この人の演奏には”脱・グールド”みたいな気負いはなく、曲に対してもグールドに対しても愛情に満ちていて、丁寧で、やさしくてすごく好きです。