トマトを買いに出かけて、なんとなく立ち寄った魚屋さんで、あんまりいいブリがあったので買う。照り焼きもいいけれど、こっくりと煮物もいいなあと思って大根を買って帰る。
帰ってきて思う。僕はブリを買うつもりじゃなかったんだ。
曹洞宗の開祖、道元禅師は精進料理に関する著作『典座教訓』(てんぞきょうくん)に、基本となる”五味五法五色”を記しているという。
五法は調理法(生、煮る、焼く、揚げる、蒸す)、五色は料理の色、白・黒・赤・黄・青(緑)をあらわす。
そして、五味は味(辛、酸、甘、苦、鹹*1)である。道元禅師はこれに『淡味』を加え、六味としたのだそうだ。
この淡味とはなにかというと、薄味のことではなく、素材の持ち味を活かした味なのだという*2。
素材の持ち味を活かす。これだ。
僕が料理を作って人に食べさせたとき、「素材の味が生きてる」って言われたら、すごくうれしい。おそらく最もうれしい褒め言葉だろうと思う。
季節を食べるような食卓が理想だけれど、旬の食材をただ使えばいいというものではなくて、その素材の味を引き出してふくらませるような料理を心掛けたいものだ。
ここのところ、そんなことをよく考えている。
さて、旬を過ぎた感があるけれど、かぶを買ったのである。ただ、5月まではかぶの旬だと、ものの本には書いてある。
かぶと鶏肉の煮物が、じつは今、大ブームである。
もちろん個人的なブームだ。
夏に作る冬瓜と鶏肉の煮物を、かぶに変えて煮てみたらとてもおいしかったので、一躍この春の主役に躍り出たのである。
かぶは茎の部分を2cm程度残して、皮を剥く。
根元に泥が残っていることが多いので、流水でよく洗う。
余談だが、この小かぶの姿がかわいくて好きである。
だし汁を沸かして、ぶつ切りにした鶏もも肉を入れる。
鶏肉の色が変わったら、かぶを入れ、酒を入れ、沸騰したらざっと灰汁を取り除く。
甘みを感じない程度*3に砂糖を入れ、落し蓋をしてしばらく煮る。
やわらかくなったら、塩、薄口醬油で味をつけ、さらに落し蓋をして少し煮る。
最後に少し味醂*4を入れて、煮たら完成。
かぶと鶏肉の煮物。
やわらかく煮えたかぶのとろとろが、そしてほのかな土の匂いが、とてもおいしい。
アスパラガスのおひたし。
茹でたアスパラガスを濃い目のだしに浸しておいたもの。上に削り節を乗せる。
こちらは新牛蒡を湯がいて、胡麻味噌で和えたもの。
もう一品。
『玉ねぎ天』。
素材の持ち味が、とか言っておきながら、紀文の玉ねぎ天かよ、などと言わないでほしい。
おいしい。たまねぎの味するし。
玉ねぎ天は、軽く焙って生姜醬油でいただく。
まずはビール。
そろそろ、汗ばむような日も出てきた。
一年中ビールを飲んでいるけれど、やっぱりこういう時期になるとビールのうまさも一入であると、あたりまえながら思う。
今年、初の冷酒。
『翠露』の美山錦。
いつも買っている備前雄町の翠露がなかったので、こちらで。
すいすい、と。
さて、おいしいかぶの煮物を食べた後、残っているものがある。
かぶの葉と、皮である。
かぶの皮は厚めに剥くので、もったいないからとっておく。
これらは後日、別の料理として登場することになる。
ここからはその後日の話になる。
かぶは、その栄養が葉に集中しているらしい。あのかわいい白い実の部分は胚軸というのだそうだ(根ではない)。実の部分は殆どが水分だから、葉を食べなくてはもったいないのである。
かぶの葉っぱをどうするかというと、実に簡単におかか炒めにする。
鍋に油をひいて、細切りにしたお揚げとかぶの皮を炒める。
ざく切りにしたかぶの葉を入れる。山のように。
でもすぐに水分が抜けて小さくおさまってしまう。
酒をふり、砂糖を入れる。
ここでは甘辛味にするので、砂糖はしっかりと。
蓋をして、しばらく蒸し煮にする。
茎の部分がやわらかくなったら、濃口醬油。
これもしっかりめで味をつけたほうがよいと思う。
最後にちょっと味醂。
そして削り節をたくさんいれて、混ぜたら完成である。
この、おばあちゃん家で出てくる料理みたいな匂いが堪らない。
いかにもおばんざい、という感じ。
かぶの葉と皮のおかか炒め。
できたてもいいけれど、タッパーに入れて一日二日冷蔵庫に入れておいたものも、よりおばあちゃんっぽさが増して、好きである。
この食べものだと、なんとなくキリンラガーが似つかわしいような気がして、わざわざ買ってきた。
昭和のラガー。
玉ねぎ天。
残っていたので。
づけまぐろの山かけ。
西友で一番安いマグロのさくを買ってきて作る。
そしてまたもや、いんげんと胡桃の白和えである。
またかよ、などと言う勿れ。
いんげんが好きである。ほんとうに好きである。
かぶを殆ど棄てずに食べたのが、すごくうれしい。
棄てたのは、先っぽのヒゲの部分と葉っぱの黄色くなったところだけだ。
煮物も、おかか炒めも、かぶのおいしさをちゃんと引き出せたのではないかと、まことに手間味噌ながら思っている。
実にいい気分である。
話しは変わって、キーホルダーを買い替えた。
このヨットのキーホルダー。
ブリを買うつもりじゃなかったを思わせるこのヨットがどうしても欲しくなって、ちょっと高かったけれど買ってしまった。
ちょっとやそっとでは壊れそうにないし、たぶん、一生使うことになると思う。
五法は調理法(生、煮る、焼く、揚げる、蒸す)、五色は料理の色、白・黒・赤・黄・青(緑)をあらわす。
そして、五味は味(辛、酸、甘、苦、鹹*1)である。道元禅師はこれに『淡味』を加え、六味としたのだそうだ。
*1 鹹は塩辛いの意
この淡味とはなにかというと、薄味のことではなく、素材の持ち味を活かした味なのだという*2。
*2 解釈はさまざまあるらしいが
素材の持ち味を活かす。これだ。
僕が料理を作って人に食べさせたとき、「素材の味が生きてる」って言われたら、すごくうれしい。おそらく最もうれしい褒め言葉だろうと思う。
季節を食べるような食卓が理想だけれど、旬の食材をただ使えばいいというものではなくて、その素材の味を引き出してふくらませるような料理を心掛けたいものだ。
ここのところ、そんなことをよく考えている。
さて、旬を過ぎた感があるけれど、かぶを買ったのである。ただ、5月まではかぶの旬だと、ものの本には書いてある。
かぶと鶏肉の煮物が、じつは今、大ブームである。
もちろん個人的なブームだ。
夏に作る冬瓜と鶏肉の煮物を、かぶに変えて煮てみたらとてもおいしかったので、一躍この春の主役に躍り出たのである。
かぶは茎の部分を2cm程度残して、皮を剥く。
根元に泥が残っていることが多いので、流水でよく洗う。
余談だが、この小かぶの姿がかわいくて好きである。
だし汁を沸かして、ぶつ切りにした鶏もも肉を入れる。
鶏肉の色が変わったら、かぶを入れ、酒を入れ、沸騰したらざっと灰汁を取り除く。
甘みを感じない程度*3に砂糖を入れ、落し蓋をしてしばらく煮る。
*3 これが重要
やわらかくなったら、塩、薄口醬油で味をつけ、さらに落し蓋をして少し煮る。
最後に少し味醂*4を入れて、煮たら完成。
*4 ここでも、甘みが出ない程度に、が肝心である。
かぶと鶏肉の煮物。
やわらかく煮えたかぶのとろとろが、そしてほのかな土の匂いが、とてもおいしい。
アスパラガスのおひたし。
茹でたアスパラガスを濃い目のだしに浸しておいたもの。上に削り節を乗せる。
こちらは新牛蒡を湯がいて、胡麻味噌で和えたもの。
もう一品。
『玉ねぎ天』。
素材の持ち味が、とか言っておきながら、紀文の玉ねぎ天かよ、などと言わないでほしい。
おいしい。たまねぎの味するし。
玉ねぎ天は、軽く焙って生姜醬油でいただく。
まずはビール。
そろそろ、汗ばむような日も出てきた。
一年中ビールを飲んでいるけれど、やっぱりこういう時期になるとビールのうまさも一入であると、あたりまえながら思う。
今年、初の冷酒。
『翠露』の美山錦。
いつも買っている備前雄町の翠露がなかったので、こちらで。
すいすい、と。
さて、おいしいかぶの煮物を食べた後、残っているものがある。
かぶの葉と、皮である。
かぶの皮は厚めに剥くので、もったいないからとっておく。
これらは後日、別の料理として登場することになる。
ここからはその後日の話になる。
かぶは、その栄養が葉に集中しているらしい。あのかわいい白い実の部分は胚軸というのだそうだ(根ではない)。実の部分は殆どが水分だから、葉を食べなくてはもったいないのである。
かぶの葉っぱをどうするかというと、実に簡単におかか炒めにする。
鍋に油をひいて、細切りにしたお揚げとかぶの皮を炒める。
ざく切りにしたかぶの葉を入れる。山のように。
でもすぐに水分が抜けて小さくおさまってしまう。
酒をふり、砂糖を入れる。
ここでは甘辛味にするので、砂糖はしっかりと。
蓋をして、しばらく蒸し煮にする。
茎の部分がやわらかくなったら、濃口醬油。
これもしっかりめで味をつけたほうがよいと思う。
最後にちょっと味醂。
そして削り節をたくさんいれて、混ぜたら完成である。
この、おばあちゃん家で出てくる料理みたいな匂いが堪らない。
いかにもおばんざい、という感じ。
かぶの葉と皮のおかか炒め。
できたてもいいけれど、タッパーに入れて一日二日冷蔵庫に入れておいたものも、よりおばあちゃんっぽさが増して、好きである。
この食べものだと、なんとなくキリンラガーが似つかわしいような気がして、わざわざ買ってきた。
昭和のラガー。
玉ねぎ天。
残っていたので。
づけまぐろの山かけ。
西友で一番安いマグロのさくを買ってきて作る。
そしてまたもや、いんげんと胡桃の白和えである。
またかよ、などと言う勿れ。
いんげんが好きである。ほんとうに好きである。
かぶを殆ど棄てずに食べたのが、すごくうれしい。
棄てたのは、先っぽのヒゲの部分と葉っぱの黄色くなったところだけだ。
煮物も、おかか炒めも、かぶのおいしさをちゃんと引き出せたのではないかと、まことに手間味噌ながら思っている。
実にいい気分である。
話しは変わって、キーホルダーを買い替えた。
このヨットのキーホルダー。
ブリを買うつもりじゃなかったを思わせるこのヨットがどうしても欲しくなって、ちょっと高かったけれど買ってしまった。
ちょっとやそっとでは壊れそうにないし、たぶん、一生使うことになると思う。
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Re:無題
とらこさん、こんばんは。
軽く炙るとおいしいです。練り物は自分で作るわけにもいかないですから、ぱぱっと買ってきます。弱火でじりじりと炙るときの感じがいいですね。少し煙が出てきたくらいで、まだもうちょっとかな、とかいっているうちに、だんだん痺れを切らしてほかのことを始めて、油断して、おっといけねえ、みたいなのもまたよいです。
あのお皿は、頻出組の代表格ですね。お気に入りです。縦横比が絶妙で使い易いんです。もちろん色絵も素敵なわけですが。
>ところでヨットとブリの組合わせって考えたら不思議ですね
本当ですね。同じ海のものでありながら、ここまで毛色が違うとは!考えもしなかったです。素晴らしい視点です。恐れ入りました。
コメント、ありがとうございます!
軽く炙るとおいしいです。練り物は自分で作るわけにもいかないですから、ぱぱっと買ってきます。弱火でじりじりと炙るときの感じがいいですね。少し煙が出てきたくらいで、まだもうちょっとかな、とかいっているうちに、だんだん痺れを切らしてほかのことを始めて、油断して、おっといけねえ、みたいなのもまたよいです。
あのお皿は、頻出組の代表格ですね。お気に入りです。縦横比が絶妙で使い易いんです。もちろん色絵も素敵なわけですが。
>ところでヨットとブリの組合わせって考えたら不思議ですね
本当ですね。同じ海のものでありながら、ここまで毛色が違うとは!考えもしなかったです。素晴らしい視点です。恐れ入りました。
コメント、ありがとうございます!
無題
蕪の葉のおかか炒め、私も大好きです。
私もいつも濃い味付けにして、ご飯と混ぜて食べてます。
あっ遅くなりましたがお誕生日おめでとうございます。私は一日前の憲法記念日生まれです。良い歳にしましょう。
私もいつも濃い味付けにして、ご飯と混ぜて食べてます。
あっ遅くなりましたがお誕生日おめでとうございます。私は一日前の憲法記念日生まれです。良い歳にしましょう。
Re:無題
sakuさん、こんばんは。
おかか炒め、いいですよねえ!僕は夜に作ったのを翌日の朝ごはんに食べると、俺エライみたいな気分になります。常備菜を作っている人みたいで。
おお、誕生日近いですね!実は僕の祖父が憲法記念日生まれです。よい歳になりますよ!間違いなく。
コメント、ありがとうございます!
おかか炒め、いいですよねえ!僕は夜に作ったのを翌日の朝ごはんに食べると、俺エライみたいな気分になります。常備菜を作っている人みたいで。
おお、誕生日近いですね!実は僕の祖父が憲法記念日生まれです。よい歳になりますよ!間違いなく。
コメント、ありがとうございます!
Re:無題
まさか、あの時間に仕事してるとは思いませんでした。
おつかれさまでございます。
あまりご無理をなさいませぬように。ご自愛下さい。
コメント、ありがとう!
おつかれさまでございます。
あまりご無理をなさいませぬように。ご自愛下さい。
コメント、ありがとう!
Re:無題
わごむさん、こんばんは。
ありがとうございます。昔、親が言ってた「誕生日は、むしろうれしくない日だ」的な気持ちが分かるようになってしまったような…。
でも!せっかくの誕生日ですからね!僕がこの世に誕生した日ですから!こんなにうれしいことはない、と思います!
ちなみにうちの両親はもう齢を重ねることに抵抗を感じない境地に入ったと言っていました。そういうほうが素敵ですね。
あのヨットのキーホルダーは、革でできているんです。かなりしっかりした作りになってます。20年後くらいに古ぼけたキーホルダーを大事にしている姿を想像しながら買いました。キーホルダーを欲しくて買う、ってなかなかないような気もします。出合ったのだな、と思います。
コメント、ありがとうございます!
ありがとうございます。昔、親が言ってた「誕生日は、むしろうれしくない日だ」的な気持ちが分かるようになってしまったような…。
でも!せっかくの誕生日ですからね!僕がこの世に誕生した日ですから!こんなにうれしいことはない、と思います!
ちなみにうちの両親はもう齢を重ねることに抵抗を感じない境地に入ったと言っていました。そういうほうが素敵ですね。
あのヨットのキーホルダーは、革でできているんです。かなりしっかりした作りになってます。20年後くらいに古ぼけたキーホルダーを大事にしている姿を想像しながら買いました。キーホルダーを欲しくて買う、ってなかなかないような気もします。出合ったのだな、と思います。
コメント、ありがとうございます!
無題
皮はいつもさよならしてたので、なるほど、と思いました。
蕪の皮は、案外頑丈ですよね。
でもそれを剥くと柔らかくて透き通る中身が隠れていて。
火を通せばとけてしまうほどに煮えて、口でとろんとなるのは至福ですね…。
ああ、はらへり。
よい年になりますように!
蕪の皮は、案外頑丈ですよね。
でもそれを剥くと柔らかくて透き通る中身が隠れていて。
火を通せばとけてしまうほどに煮えて、口でとろんとなるのは至福ですね…。
ああ、はらへり。
よい年になりますように!
Re:無題
aikoさん、こんばんは。
かぶの皮は頑丈です。大根と同様、もったいないくらいに厚く剥きます。だからもったいなくて、別の料理に使うんですね。ちなみに大根の皮が残っていたときには、このかぶの葉のおかか炒めに入れることもあります。
かぶのとろとろ具合は、至福ですね。また寒くなったら、かぶをたくさん食べたいと思います。
コメント、ありがとうございます!
かぶの皮は頑丈です。大根と同様、もったいないくらいに厚く剥きます。だからもったいなくて、別の料理に使うんですね。ちなみに大根の皮が残っていたときには、このかぶの葉のおかか炒めに入れることもあります。
かぶのとろとろ具合は、至福ですね。また寒くなったら、かぶをたくさん食べたいと思います。
コメント、ありがとうございます!
Re:無題
ななさん、こんばんは。
そう。ヨットですよ。このブログは。
でも、ランサムともヨットともまったく関係ないですね。
実は、ブリ買うTシャツとか、ブリ買うマッチみたいなのを作ってみるか、とか友達と話し合ったことがあります。意外と面白いかもしれないです。
コメント、ありがとうございます!
そう。ヨットですよ。このブログは。
でも、ランサムともヨットともまったく関係ないですね。
実は、ブリ買うTシャツとか、ブリ買うマッチみたいなのを作ってみるか、とか友達と話し合ったことがあります。意外と面白いかもしれないです。
コメント、ありがとうございます!
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