トマトを買いに出かけて、なんとなく立ち寄った魚屋さんで、あんまりいいブリがあったので買う。照り焼きもいいけれど、こっくりと煮物もいいなあと思って大根を買って帰る。
帰ってきて思う。僕はブリを買うつもりじゃなかったんだ。
そろそろ入梅も近いか。
うっかり油断すると、すぐに季節が進んでしまう。春過ぎて夏来にけらし、である。
さて、外を歩くとジャケットのワキ汗が気になるくらいの暑さともなると、ビールの消費量も高まるというものである。
こよなくビールを愛する僕としては、相性のよいつまみをいつでも模索するようにして生きている。
枝豆やソーセージ類はもちろん最高の相性だ。手軽さもいい。フィッシュ&チップス、鶏の唐揚げなどの揚げ物類もよいが、ビールを飲みたい、と思ってから始めたのでは時間も手間もかかりすぎる嫌いがある。この時期にはさっぱりと浅漬けもいいけれど、これもなかなか難しい。うっかりおかしなものを買ってしまうと、味以上に落胆の気持ちが強くて、ビールの味も半減してしまう。
最近ではいんげん、またはスナップえんどう、あるいはさやえんどうと胡桃の白和えがお気に入りである。胡桃の香ばしさ、莢の青くささ、豆腐のねっとり感がよくて、登場頻度が高い。
ここで、ビールとの相性及び調理の手軽さにおいて、僕が暗々裏に最上級の評価を与えているつまみをご紹介したい。
四角い顔の、味はまろやかなやつ。
『ペヤング ソースやきそば』である。
僕は、ペヤング大好きである。
そして。
意外と知られていないかも知れないけれど、こいつ、ビールととても相性がいいのである。
ペヤングソースやきそばはこうやって作る。
まず、お湯を沸かす。
外装フィルムを剥がし、中に入っているソース、かやく、ふりかけ、スパイスを取り出す。
フタの湯切り口のツメを持ち上げておく。
これはとても大切な作業だ。
次に、かやくのみを麺の上にあけてお湯を注ぐ。
3分待ったら、お湯を切る。
どんなにしっかり切っても、お湯を完全に切ることはできない。
でもそれでいいのだ。最終的に、残ったお湯はソースと混ざってかやくのキャベツ*1に吸い取られて、独特のべしゃべしゃ感を作り出す。
ソースをかける。
ソースと麺、かやくをよく和える。
ここでどんなによく和えても、というよりも寧ろ、和えれば和えるほど、かやくのキャベツ*2は下に沈んでいく。
でも、それでいいのだ。最終的に、残ったかやくは独特のべしゃべしゃ感を作り出す。
最後に、『ふりかけ』と『スパイス』をかけたら、完成である。
インスタント食品に眉を顰める向きもあるとは思うけれど、ペヤングはおいしい。
ペヤングは食べ初めと、食べ終わりでは、味がかなり違う。
始めはモソモソとして、咽喉に詰まる感じがある。食べ進むにつれてどんどん味が濃くなっていって、最終的にはあのお湯とソースをしっかり吸い込んだべしゃべしゃのキャベツ*3を箸でつまむようにして食べることになる。
ビールは、ハートランドである。
緑の瓶のさわやかなビール。
ペヤングソースやきそばは、厳密に言えば(厳密じゃなくても)焼きソバではない。フライ麺をお湯で戻して、ソースと和えただけだ。焼いていない。
名ばかりのやきそばではある。
しかしながら、ペヤングは『ペヤング ソースやきそば』として、確立されている感がある。その確固たる存在感が我々を魅了するのではないか、とも思う。焼きソバじゃない。ペヤングソースやきそばなんだ、と。
もうひとつ、通常の焼きソバと比較して、ペヤングにしか具わっていない特徴がある。
それは『スナック感』である。
私見だが、このスナック感こそが、ビールとの関係を深くしているのではないかと思う。
そして、食べ終わった後、舌に残るわずかな痺れと、心に幽かに引っ掛かる罪悪感もまた、ペヤングの味わいのひとつである。
また、嫌な梅雨がやってくる。
風にも雪にも、夏の暑さにも負ける気はしないけれど、湿気が嫌いである。
あと少しの晴れ間を逃すことのないように、西荻窪の僕のベランダには、白栲の衣ではなく、白いバスタオルが干してある。
うっかり油断すると、すぐに季節が進んでしまう。春過ぎて夏来にけらし、である。
さて、外を歩くとジャケットのワキ汗が気になるくらいの暑さともなると、ビールの消費量も高まるというものである。
こよなくビールを愛する僕としては、相性のよいつまみをいつでも模索するようにして生きている。
枝豆やソーセージ類はもちろん最高の相性だ。手軽さもいい。フィッシュ&チップス、鶏の唐揚げなどの揚げ物類もよいが、ビールを飲みたい、と思ってから始めたのでは時間も手間もかかりすぎる嫌いがある。この時期にはさっぱりと浅漬けもいいけれど、これもなかなか難しい。うっかりおかしなものを買ってしまうと、味以上に落胆の気持ちが強くて、ビールの味も半減してしまう。
最近ではいんげん、またはスナップえんどう、あるいはさやえんどうと胡桃の白和えがお気に入りである。胡桃の香ばしさ、莢の青くささ、豆腐のねっとり感がよくて、登場頻度が高い。
ここで、ビールとの相性及び調理の手軽さにおいて、僕が暗々裏に最上級の評価を与えているつまみをご紹介したい。
四角い顔の、味はまろやかなやつ。
『ペヤング ソースやきそば』である。
僕は、ペヤング大好きである。
そして。
意外と知られていないかも知れないけれど、こいつ、ビールととても相性がいいのである。
ペヤングソースやきそばはこうやって作る。
まず、お湯を沸かす。
外装フィルムを剥がし、中に入っているソース、かやく、ふりかけ、スパイスを取り出す。
フタの湯切り口のツメを持ち上げておく。
これはとても大切な作業だ。
次に、かやくのみを麺の上にあけてお湯を注ぐ。
3分待ったら、お湯を切る。
どんなにしっかり切っても、お湯を完全に切ることはできない。
でもそれでいいのだ。最終的に、残ったお湯はソースと混ざってかやくのキャベツ*1に吸い取られて、独特のべしゃべしゃ感を作り出す。
*1 たぶん、キャベツ
ソースをかける。
ソースと麺、かやくをよく和える。
ここでどんなによく和えても、というよりも寧ろ、和えれば和えるほど、かやくのキャベツ*2は下に沈んでいく。
でも、それでいいのだ。最終的に、残ったかやくは独特のべしゃべしゃ感を作り出す。
*2 おそらく、キャベツ
最後に、『ふりかけ』と『スパイス』をかけたら、完成である。
インスタント食品に眉を顰める向きもあるとは思うけれど、ペヤングはおいしい。
ペヤングは食べ初めと、食べ終わりでは、味がかなり違う。
始めはモソモソとして、咽喉に詰まる感じがある。食べ進むにつれてどんどん味が濃くなっていって、最終的にはあのお湯とソースをしっかり吸い込んだべしゃべしゃのキャベツ*3を箸でつまむようにして食べることになる。
*3 キャベツ、じゃないかと思う
ビールは、ハートランドである。
緑の瓶のさわやかなビール。
ペヤングソースやきそばは、厳密に言えば(厳密じゃなくても)焼きソバではない。フライ麺をお湯で戻して、ソースと和えただけだ。焼いていない。
名ばかりのやきそばではある。
しかしながら、ペヤングは『ペヤング ソースやきそば』として、確立されている感がある。その確固たる存在感が我々を魅了するのではないか、とも思う。焼きソバじゃない。ペヤングソースやきそばなんだ、と。
もうひとつ、通常の焼きソバと比較して、ペヤングにしか具わっていない特徴がある。
それは『スナック感』である。
私見だが、このスナック感こそが、ビールとの関係を深くしているのではないかと思う。
そして、食べ終わった後、舌に残るわずかな痺れと、心に幽かに引っ掛かる罪悪感もまた、ペヤングの味わいのひとつである。
また、嫌な梅雨がやってくる。
風にも雪にも、夏の暑さにも負ける気はしないけれど、湿気が嫌いである。
あと少しの晴れ間を逃すことのないように、西荻窪の僕のベランダには、白栲の衣ではなく、白いバスタオルが干してある。
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無題
麺をちょっと持ち上げて麺の下にかやくをいれると、お湯を切ったあとフタの裏にキャベツがペッタリくっつきませんよ~。
昔友人がお湯と一緒にソースも入れて3分待って、お湯捨てて食べてたなあ。「薄味でおいしい」とか・・・ウソだと思うけど。
何年ぶりかのコメントですが、ちょくちょく寄ってます。楽しみにしてます
昔友人がお湯と一緒にソースも入れて3分待って、お湯捨てて食べてたなあ。「薄味でおいしい」とか・・・ウソだと思うけど。
何年ぶりかのコメントですが、ちょくちょく寄ってます。楽しみにしてます
Re:無題
おみつ姫さん、こんばんは。
お久しぶりです!
なるほど。かやくを麺の下に入れるか。勉強になります。でも、かやくがフタにくっつくことを、あまり気にしたことがなかったですね…。
いや、薄すぎるだろ!とつっこみたくなりますが…。そのご友人の食べ方、興味はありますが、真似する勇気が僕にはありません。誰かがやっていたら、一口ちょうだいって言えるんですけどね。誰もやりませんね…。
コメント、ありがとうございます!おみつ姫さんがコメントを下さったのは、ずいぶん前のことなんですね…。月日というものは早いものですねえ…。
お久しぶりです!
なるほど。かやくを麺の下に入れるか。勉強になります。でも、かやくがフタにくっつくことを、あまり気にしたことがなかったですね…。
いや、薄すぎるだろ!とつっこみたくなりますが…。そのご友人の食べ方、興味はありますが、真似する勇気が僕にはありません。誰かがやっていたら、一口ちょうだいって言えるんですけどね。誰もやりませんね…。
コメント、ありがとうございます!おみつ姫さんがコメントを下さったのは、ずいぶん前のことなんですね…。月日というものは早いものですねえ…。
やかん
初めてコメントします。
たぶん5年くらい前からブリ買うさんの日々のお酒や食事。気に入った機具や器でとても気持ちの良い食卓を拝見しております。
時折更新されるのをとても楽しみにしております。
ひとつどうしても気になったことがあります。
ペヤングで登場したやかんです。
ここ数年我が家のやかんは何にしようかと探し廻っていたところ今まで見たことのないものでした。
どうかこっそり教えていただけないでしょうか。
たぶん5年くらい前からブリ買うさんの日々のお酒や食事。気に入った機具や器でとても気持ちの良い食卓を拝見しております。
時折更新されるのをとても楽しみにしております。
ひとつどうしても気になったことがあります。
ペヤングで登場したやかんです。
ここ数年我が家のやかんは何にしようかと探し廻っていたところ今まで見たことのないものでした。
どうかこっそり教えていただけないでしょうか。
Re:やかん
聡子さん、初めまして。セキヤです。
5年前というと、かなり黎明期からお読み下さってるんですね。ありがとうございます。
ご質問のやかんですが、こっそりとお答えします。
あのやかんはおそらくスウェーデンの古いものです。Rostfritt Stål社のもの、だろうと思います。刻印がありますので。
実はこれ以上の情報が分かりません。デザイン感から70年代後半くらいかな、とか想像しています。
ご質問をいただいたので、購入したお店の人に聞いてみたのですが、分かりませんでした。というか扱ったかどうかの記憶もないくらい、あまり多く出回るものではないようです。
あまりお役に立ちませんで申し訳ないです。
やかんは、古いものも視野に入れて探すといいものがあると思いますよ。北欧の琺瑯とか、僕はかわいくて好きです。
コメント、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
5年前というと、かなり黎明期からお読み下さってるんですね。ありがとうございます。
ご質問のやかんですが、こっそりとお答えします。
あのやかんはおそらくスウェーデンの古いものです。Rostfritt Stål社のもの、だろうと思います。刻印がありますので。
実はこれ以上の情報が分かりません。デザイン感から70年代後半くらいかな、とか想像しています。
ご質問をいただいたので、購入したお店の人に聞いてみたのですが、分かりませんでした。というか扱ったかどうかの記憶もないくらい、あまり多く出回るものではないようです。
あまりお役に立ちませんで申し訳ないです。
やかんは、古いものも視野に入れて探すといいものがあると思いますよ。北欧の琺瑯とか、僕はかわいくて好きです。
コメント、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
Re:無題
ひでさん、おはようございます。
かやく、麺の下に入れる派ですか!というか、かやくの入れる位置を気にも留めていなかった僕は、どうなんでしょう…。なんか無神経だったんじゃないか、という気持ちになってきましたよ…。僕は麺の上に入れる派というわけではなくて、気にしていないだけ、です。
コメント、ありがとうございます!
かやく、麺の下に入れる派ですか!というか、かやくの入れる位置を気にも留めていなかった僕は、どうなんでしょう…。なんか無神経だったんじゃないか、という気持ちになってきましたよ…。僕は麺の上に入れる派というわけではなくて、気にしていないだけ、です。
コメント、ありがとうございます!
ありがとうございます
教えて頂いた例のやかんパソコンで調べてみました。
きっと直ぐには出会うことがないでしょうが探す楽しみがまたひとつ。
実はケメックスやアラビアのことはブリ買うさんのブログで知って今やコーヒー好きになりました。もちろんお酒は前から好きでしたので日常の飲食を大切にする記述がとても好きでした。
今までのお礼でありがとうございますとこちらこそこれからも楽しみにしております。
きっと直ぐには出会うことがないでしょうが探す楽しみがまたひとつ。
実はケメックスやアラビアのことはブリ買うさんのブログで知って今やコーヒー好きになりました。もちろんお酒は前から好きでしたので日常の飲食を大切にする記述がとても好きでした。
今までのお礼でありがとうございますとこちらこそこれからも楽しみにしております。
Re:ありがとうございます
聡子さん、こんにちは。
やかんひとつでも、あきらめずに探す。素晴らしい姿勢だと思います。探す愉しみというのは、うれしいものですね。いつでも心に留めておくと、いつかきっと出会いがあると思います。ケメックスやアラビアの食器は僕の生活に深く入り込んでいるものたちです。聡子さんの生活に仲間入りさせてもらえたこと、何だか自分のことのようにうれしいです。
コメント、ありがとうございます!
やかんひとつでも、あきらめずに探す。素晴らしい姿勢だと思います。探す愉しみというのは、うれしいものですね。いつでも心に留めておくと、いつかきっと出会いがあると思います。ケメックスやアラビアの食器は僕の生活に深く入り込んでいるものたちです。聡子さんの生活に仲間入りさせてもらえたこと、何だか自分のことのようにうれしいです。
コメント、ありがとうございます!
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