トマトを買いに出かけて、なんとなく立ち寄った魚屋さんで、あんまりいいブリがあったので買う。照り焼きもいいけれど、こっくりと煮物もいいなあと思って大根を買って帰る。
帰ってきて思う。僕はブリを買うつもりじゃなかったんだ。
どうもここのところ、豆腐ばかり食べている。
湯豆腐が続いたり、枝豆と豆腐としらすの和えたのを出したり。つくづく思うのだけれど、豆腐は偉大な食べ物だと思う。
禅寺は三日に一どは豆腐だが、じつはこれには精進ばかりの日常に栄養を仕込む工夫がなされているのであって、大方の禅僧が長寿を保ち、しかも、老師級の人物に、目立つ痩身もなく、肥りすぎもなく、すがたのいい健康美で、九十歳以上まで長生きされる人の多いのは、豆腐の力あってのことかと思われもする。
なるほど。
子供の頃、豆腐なんて特においしいともなんとも思わなかったけれど、これも体が欲しているからおいしく感じるというのもあるかもしれない。
ただし僕の場合は禅僧とは逆で、脂肪を控えて良質の植物性蛋白質を摂取せよという体の指令かもしれない。というか、ただおいしいから食べているのですが。
さて、この時期愉しみにしているのが『琥珀ヱビス』である。
いやー。待ってました。
この色。旨いビールだなあと思う。
ヱビスも随分種類が増えたけれど、やっぱりレギュラーか、この『琥珀ヱビス』に落ち着く。
琥珀ヱビスと豆腐。
何を作るかというと、肉豆腐である。
ささがきにした牛蒡をだしで煮る。酒を入れる。
普段、僕は灰汁はあんまり気にしないけれど、牛蒡からはぶくぶくとたくさん出るので、さすがにちょっと取る。
砂糖を入れてしばらく煮たら、醬油。
豆腐を入れてさらに煮る。
肉は最後。
色が変わったくらいで火を止める。
本当は三つ葉を添えたかったけれど、売っていなかったのでしようがない。
でも、おいしい。体が温まります。
あとは、刺身。
かんぱちが安かったので。かんぱちのさくより、山葵のほうが高かった。
これは前日の残りである。枝豆と豆腐としらすの和え物。
肉豆腐、刺身ときたら、流れは日本酒である。
燗をつける。
お酒は、宮城の一の蔵特別純米。
深夜のスーパーでもまともなお酒が買えるのはほんとうにありがたいことだと思う。
子供の頃、豆腐なんて特においしいともなんとも思わなかった、とさっき書いた。
でも昔に較べてごく普通に買える豆腐の味って随分良くなったような気がする。西友で売ってる有機木綿豆腐、おいしいと思う。
湯豆腐が続いたり、枝豆と豆腐としらすの和えたのを出したり。つくづく思うのだけれど、豆腐は偉大な食べ物だと思う。
禅寺は三日に一どは豆腐だが、じつはこれには精進ばかりの日常に栄養を仕込む工夫がなされているのであって、大方の禅僧が長寿を保ち、しかも、老師級の人物に、目立つ痩身もなく、肥りすぎもなく、すがたのいい健康美で、九十歳以上まで長生きされる人の多いのは、豆腐の力あってのことかと思われもする。
―『土を喰ふ日々』/水上勉(文化出版局,1978)
なるほど。
子供の頃、豆腐なんて特においしいともなんとも思わなかったけれど、これも体が欲しているからおいしく感じるというのもあるかもしれない。
ただし僕の場合は禅僧とは逆で、脂肪を控えて良質の植物性蛋白質を摂取せよという体の指令かもしれない。というか、ただおいしいから食べているのですが。
さて、この時期愉しみにしているのが『琥珀ヱビス』である。
いやー。待ってました。
この色。旨いビールだなあと思う。
ヱビスも随分種類が増えたけれど、やっぱりレギュラーか、この『琥珀ヱビス』に落ち着く。
琥珀ヱビスと豆腐。
何を作るかというと、肉豆腐である。
ささがきにした牛蒡をだしで煮る。酒を入れる。
普段、僕は灰汁はあんまり気にしないけれど、牛蒡からはぶくぶくとたくさん出るので、さすがにちょっと取る。
砂糖を入れてしばらく煮たら、醬油。
豆腐を入れてさらに煮る。
肉は最後。
色が変わったくらいで火を止める。
本当は三つ葉を添えたかったけれど、売っていなかったのでしようがない。
でも、おいしい。体が温まります。
あとは、刺身。
かんぱちが安かったので。かんぱちのさくより、山葵のほうが高かった。
これは前日の残りである。枝豆と豆腐としらすの和え物。
肉豆腐、刺身ときたら、流れは日本酒である。
燗をつける。
お酒は、宮城の一の蔵特別純米。
深夜のスーパーでもまともなお酒が買えるのはほんとうにありがたいことだと思う。
子供の頃、豆腐なんて特においしいともなんとも思わなかった、とさっき書いた。
でも昔に較べてごく普通に買える豆腐の味って随分良くなったような気がする。西友で売ってる有機木綿豆腐、おいしいと思う。
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寒くなって、野菜が鍋ものっぽくなってきた。
春菊としいたけとまいたけ。
ベーコン。これはもぐもぐのベーコンの切り落とし。切り落としはお買い得である。
鍋にベーコンを入れるのではない。
春菊をパスタにするのだ。
春菊は鍋のイメージが強いけれど、他の青菜と同じく油との相性がいいから、パスタにしてもおいしい。
にんにくと赤唐辛子のオイルを作る。
ベーコンを炒める。
ベーコンから旨味を染み出させるような感じでじっくりと炒めていく。
きのこ類を入れる。
白ワインをふる。
パスタの茹で汁を加え、フライパンをゆすって乳化させる。
塩、胡椒で味を調える。
パスタが茹であがる直前に春菊を入れる。
茹で上がったパスタを入れ、よく和えたら完成。
春菊の香り、きのこの旨味、ベーコンの旨味。
和風食材でもしっくりくるのがパスタのすごいところだと思う。
ワインはいつものコノスル。
本格的に寒くなってきたら、部屋を暖めて冷たい白ワインというのもいい。
暖房装置の冬が来るまで、あともう少し。そろそろストーブを出してもいいころだ。
春菊としいたけとまいたけ。
ベーコン。これはもぐもぐのベーコンの切り落とし。切り落としはお買い得である。
鍋にベーコンを入れるのではない。
春菊をパスタにするのだ。
春菊は鍋のイメージが強いけれど、他の青菜と同じく油との相性がいいから、パスタにしてもおいしい。
にんにくと赤唐辛子のオイルを作る。
ベーコンを炒める。
ベーコンから旨味を染み出させるような感じでじっくりと炒めていく。
きのこ類を入れる。
白ワインをふる。
パスタの茹で汁を加え、フライパンをゆすって乳化させる。
塩、胡椒で味を調える。
パスタが茹であがる直前に春菊を入れる。
茹で上がったパスタを入れ、よく和えたら完成。
春菊の香り、きのこの旨味、ベーコンの旨味。
和風食材でもしっくりくるのがパスタのすごいところだと思う。
ワインはいつものコノスル。
本格的に寒くなってきたら、部屋を暖めて冷たい白ワインというのもいい。
暖房装置の冬が来るまで、あともう少し。そろそろストーブを出してもいいころだ。
子育ての真っ最中には、幼い娘の茶碗に染付けの印判を使ってみたりしながら、「ああ美しいものだな、うつわというものは」などとつぶやき始めた。
―平松洋子
―平松洋子
僕が器を好きになりだしたのがいつのことだったか、はっきりとは思い出せない。自分で料理をするようになる前から何となく興味があったかもしれない。
ひとり暮らしを始めて、自分の食卓を自分で調えるようになって、器の面白さにどんどんのめりこんでいった。
どうってことのないつまみひとつ。色が映えるように盛り付ければぐっと気分が盛り上がった。生野菜を、水に浸した土ものの器に盛れば、ガラス器を使うよりずっと涼しげに映るのを知った。和食のことなんか思いもよらないで作られたであろう北欧の器に、揚げ出し豆腐がピタリときて息を呑んだ。
そういう面白さを知ったら、いろいろ試してみないではいられなかったのだ。古いものも、新しいものも、モノとして魅力のあるものを見かけたら、手にとる。どこかではっとするような盛り付けに出会ったら真似てみる。
ときには、旧ソ連の強制収容所のひどい食事に思いを馳せながら、古い琺瑯の器でうすいスープを飲んだりもした。
器屋さんの店先で、骨董屋さんで、器に呼ばれた気がしたらそれが出会い。買うまいって思っても、1週間未練が残ったらそれは買うべきもの。そんなふうにして、我が食器たちは増殖を続ける。
さて、器については、愛情も一入である。そこで、最近の新入り君たちを中心に書きます。
前回の記事はこちら。
↓
愛について(食器への)
TEEMA。
TEEMA。
TEEMA。
KILTA。
これはTEEMAの前身。
くわしくはこちら
↓
KILTAのぬくもり
TEEMAは大好きなので、これからも増えると思われる。色が不思議と主張しないのがいい。
最近の一番大きな買い物は何といってもこれ。
ALABIA『paratiisi』の黒。
もう、手に入らないと思っていたから、手に入れることができて、ほんとに嬉しい。
ORIGO。
ちょっとポップ過ぎやしないか、と敬遠していたORIGO。
使ってみればなかなかどうして。和食にもいけます。
黒釉の浅鉢。
漬物が映える。
これも浅鉢。染付けがきれい。
これは神代木(地中に埋まっていた朽木)をくりぬいたもの。薬味なんかをのせている。
これは使い勝手が良いので登場頻度が高い。
ニュウ(ヒビのこと)にシミが入り込んでいるところがいい。
古い琺瑯のお皿。
なぜか古い琺瑯が好きである。
左端に映っているのは旧日本海軍で使われていたものらしい。青がきれいなので気に入っている。
これも琺瑯。
ノルウェーのお皿。
これはすり鉢。直径が実に40cmくらいある。
人がたくさん来たときに盛り鉢にいいかと思って買ったが、大きすぎてまだ登場したことがない。
かわいそうなのでここに紹介する。
こうしてみると、北欧ブームだったことがわかる。何年か前にも北欧ブームがあってBodaNovaばっかり買っている時期があった。
どんなに器好きでも、ひとりの人間が生涯に器に費やす金額というのは上限が大体決まっているらしい。
さて僕が器に飽く日が来るのか。
まだもう少し、器探しの旅は続く。
ひとり暮らしを始めて、自分の食卓を自分で調えるようになって、器の面白さにどんどんのめりこんでいった。
どうってことのないつまみひとつ。色が映えるように盛り付ければぐっと気分が盛り上がった。生野菜を、水に浸した土ものの器に盛れば、ガラス器を使うよりずっと涼しげに映るのを知った。和食のことなんか思いもよらないで作られたであろう北欧の器に、揚げ出し豆腐がピタリときて息を呑んだ。
そういう面白さを知ったら、いろいろ試してみないではいられなかったのだ。古いものも、新しいものも、モノとして魅力のあるものを見かけたら、手にとる。どこかではっとするような盛り付けに出会ったら真似てみる。
ときには、旧ソ連の強制収容所のひどい食事に思いを馳せながら、古い琺瑯の器でうすいスープを飲んだりもした。
器屋さんの店先で、骨董屋さんで、器に呼ばれた気がしたらそれが出会い。買うまいって思っても、1週間未練が残ったらそれは買うべきもの。そんなふうにして、我が食器たちは増殖を続ける。
さて、器については、愛情も一入である。そこで、最近の新入り君たちを中心に書きます。
前回の記事はこちら。
↓
愛について(食器への)
TEEMA。
TEEMA。
TEEMA。
KILTA。
これはTEEMAの前身。
くわしくはこちら
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KILTAのぬくもり
TEEMAは大好きなので、これからも増えると思われる。色が不思議と主張しないのがいい。
最近の一番大きな買い物は何といってもこれ。
ALABIA『paratiisi』の黒。
もう、手に入らないと思っていたから、手に入れることができて、ほんとに嬉しい。
ORIGO。
ちょっとポップ過ぎやしないか、と敬遠していたORIGO。
使ってみればなかなかどうして。和食にもいけます。
黒釉の浅鉢。
漬物が映える。
これも浅鉢。染付けがきれい。
これは神代木(地中に埋まっていた朽木)をくりぬいたもの。薬味なんかをのせている。
これは使い勝手が良いので登場頻度が高い。
ニュウ(ヒビのこと)にシミが入り込んでいるところがいい。
古い琺瑯のお皿。
なぜか古い琺瑯が好きである。
左端に映っているのは旧日本海軍で使われていたものらしい。青がきれいなので気に入っている。
これも琺瑯。
ノルウェーのお皿。
これはすり鉢。直径が実に40cmくらいある。
人がたくさん来たときに盛り鉢にいいかと思って買ったが、大きすぎてまだ登場したことがない。
かわいそうなのでここに紹介する。
こうしてみると、北欧ブームだったことがわかる。何年か前にも北欧ブームがあってBodaNovaばっかり買っている時期があった。
どんなに器好きでも、ひとりの人間が生涯に器に費やす金額というのは上限が大体決まっているらしい。
さて僕が器に飽く日が来るのか。
まだもう少し、器探しの旅は続く。
家で作る飲み物はもっぱらコーヒーである。
しかしながら、肌寒くなってくると、気が向いたときだけチャイを作る。
スパイスは6種。
シナモン、カルダモン、クローブ、ナツメグ、スターアニス、ジンジャー。
配合はきわめてアバウトで、シナモン、スターアニス、カルダモンが多め(スパイススプーンで1杯くらい)、後は少なめ(スパイススプーンで半分くらい)。
まず、鍋でお湯を沸かして紅茶を煮出す。
お湯の量は出来上がりの全体量の5分の1くらいか。
スパイスを入れてさらに煮る。
牛乳を入れて煮る。
牛乳が沸騰し始めのときに吹きこぼれないようにするのが肝要だ。
チャイは甘いほうがおいしい。
甘いチャイを飲んでいたら、吉祥寺にあったFloorを思い出した。
しかしながら、肌寒くなってくると、気が向いたときだけチャイを作る。
スパイスは6種。
シナモン、カルダモン、クローブ、ナツメグ、スターアニス、ジンジャー。
配合はきわめてアバウトで、シナモン、スターアニス、カルダモンが多め(スパイススプーンで1杯くらい)、後は少なめ(スパイススプーンで半分くらい)。
まず、鍋でお湯を沸かして紅茶を煮出す。
お湯の量は出来上がりの全体量の5分の1くらいか。
スパイスを入れてさらに煮る。
牛乳を入れて煮る。
牛乳が沸騰し始めのときに吹きこぼれないようにするのが肝要だ。
チャイは甘いほうがおいしい。
甘いチャイを飲んでいたら、吉祥寺にあったFloorを思い出した。
リーマン・ブラザーズ破綻のニュースが飛び込んできた日、僕はハッシュドビーフを食べた。
牛肉のこま切れが安かったからだ。
連休明け、会社でかかっていたラジオがリーマン破綻を連呼していた。
『嘘だろ』って思った。
嘘じゃなかった。
牛こま切れ肉。塩・胡椒をする。
トマトは湯剥きして、ざくざくと切っておく。
たまねぎとマッシュルーム。
鍋ににんにくとオリーブオイルを入れて弱火で炒める。
たまねぎとマッシュルームを入れてさらに炒める。
牛肉は強火で焼き付けるようにして、ブランデーでフランベする。
鍋にトマトと牛肉を入れる。
赤ワインをドボドボと入れて煮込む。
弱火で根気よく。
デミグラスソース(缶詰)を入れる。
塩・胡椒で味を調え、さらに煮込む。
最後にバター。
溶かしたら、ひと混ぜ。蓋をして、ちょっと落ち着かせる。
赤ワインを飲む。
食べながら、世界恐慌みたいなことにならなきゃいいが、と話す。
いろいろ不安はあるが、暖かい部屋で安くておいしいハッシュドビーフを食べられればいいか、と思った。
牛肉のこま切れが安かったからだ。
連休明け、会社でかかっていたラジオがリーマン破綻を連呼していた。
『嘘だろ』って思った。
嘘じゃなかった。
牛こま切れ肉。塩・胡椒をする。
トマトは湯剥きして、ざくざくと切っておく。
たまねぎとマッシュルーム。
鍋ににんにくとオリーブオイルを入れて弱火で炒める。
たまねぎとマッシュルームを入れてさらに炒める。
牛肉は強火で焼き付けるようにして、ブランデーでフランベする。
鍋にトマトと牛肉を入れる。
赤ワインをドボドボと入れて煮込む。
弱火で根気よく。
デミグラスソース(缶詰)を入れる。
塩・胡椒で味を調え、さらに煮込む。
最後にバター。
溶かしたら、ひと混ぜ。蓋をして、ちょっと落ち着かせる。
赤ワインを飲む。
食べながら、世界恐慌みたいなことにならなきゃいいが、と話す。
いろいろ不安はあるが、暖かい部屋で安くておいしいハッシュドビーフを食べられればいいか、と思った。
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プロフィール
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セキヤ
年齢:
47
性別:
男性
誕生日:
1977/05/04
職業:
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趣味:
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自己紹介:
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