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トマトを買いに出かけて、なんとなく立ち寄った魚屋さんで、あんまりいいブリがあったので買う。照り焼きもいいけれど、こっくりと煮物もいいなあと思って大根を買って帰る。 帰ってきて思う。僕はブリを買うつもりじゃなかったんだ。
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ae505351.jpg東京の街に出て来ました

あい変わらずわけの解らない事言ってます

恥ずかしい事ないように見えますか

駅でたまに昔の君が懐かしくなります


『東京』/くるり(1999)
『さよならストレンジャー』所収













ちくわぶ、という食材がある。

関東地方以外の文化圏(それも東京地方以外といったほうがいいかもしれない)の方には、馴染みが薄いもののようである。それどころか、わけのわからない食べ物として眉を顰める向きもあるかもしれない。鈍重な、冴えない食べ物として嗤う向きもあるかもしれない。

しかしながら、僕はこの粉くさい食べ物が大好きである。おでんを食べる時、僕はちくわぶは外さない。

ちくわぶとは『ちくわのような形をした麩』の意味であろうと思うが、麩ではない。もっとねっとりとしている。小麦粉を練って成形しただけ、という感じである。ちくわぶをご存知ない方のために写真をお目にかける。

e4ca00b4.jpgこれがちくわぶである。

なぜこんな星のような形になったのか、僕は知らない。













さて、外が肌寒くなってくると、煮物もいいなあと思うのである。こっくりと煮物。ちょっと甘めの味付けで、体がほっこりする感じがいい。

ちくわぶが大好きである、と言っておきながら恐縮だが、実は殆ど買ったことがなかった。いくらくらいするものなのかさえ頓と見等がつかない(高くないであろうことはわかるけれど)。スーパーには何食わぬ顔で売られているけれど、いったい1日にどれくらい売れるものなのだろう。

なぜ、いきなりちくわぶに対する愛情を、それも忘れかけていた愛情をここに突然蒸し返したのか。それは、昔、祖母が作ってくれたちくわぶの煮物をふと思い出したからである。子供の頃のことだから、細かいところは判然としないのだけれど、薩摩揚げのようなものが一緒に煮てあったように思う。味は甘辛く、それを好んで食べていたことだけは記憶している。

思い出したら作りたくなった。

薩摩揚げを買おうと思っていたけれど、ちくわぶの隣にちくわが売られていて、似たようなのを一緒に煮るのも面白いかと思って、ちくわを買った。

52dc9723.jpg別に特別なことをするわけではない。

だしで煮て、酒、砂糖、醤油、味醂で味つけする。













ce3a9cb5.jpgちくわぶとちくわの煮物。

やさしくて滋味深い味がした。














8fd6c919.jpgこれは枝豆と豆腐と蕎麦の芽の和え物。

柚子ぽん酢を使う。蕎麦の芽の赤が鮮やかである。













bc1fef45.jpg枝豆は鞘から出す。
















54adc037.jpg柚子ぽん酢、胡椒、太白胡麻油をよく混ぜておく。















96867f42.jpg水切りした豆腐、蕎麦の芽、枝豆に上記のたれをかけて和える。















豆腐と枝豆の和え物としては、しらすとしょうがのよりもこちらのほうが古い歴史を持つ(僕の中で)。


c070efe8.jpg焼き舞茸。

網で焼いた舞茸を酒、砂糖、醤油、味醂のつけだれにつける(30秒くらい)。こねぎを散らす。













このメニューなら、日本酒だ。

3011dd33.jpg多治見の『三千盛』。
すっきり。旨い。ほんと好きです。
すいすいと。いつまでも飲み続けていたくなる。














ちくわぶとちくわの煮物は翌日も楽しんだ。くたくたになって、味が染みたちくわぶ。ぜんぜん上品じゃないけど、何かこう、心の奥の方に響くものがある。

みっともない食べ物と言って言えなくもない。
だが、何を恥ずかしがる必要があろうかと思う。b8724b5e.jpg





PR
ac5fb953.jpgバジルを初めて意識して食べたのはいつのことだったか。

母親が鶏もも肉のオーブン焼に使っていたのが、最も古い記憶であろうかと思う。瓶詰の乾燥のやつだ。

その頃、ハーブなんてなんのことがわからなかった。ハーブ=ミントのイメージが強かったように思う。

大葉や山椒、三つ葉もいうなればハーブ、という概念が頭の中にでき上がったのは、大人になってからだ。




さて、そんなハーブもしっかりと僕の生活に馴染んで久しい。バジルもローズマリーもタイムもそれがなければ画竜点睛を欠くという料理は多い。先日、カプレーゼを作ろうとしたらバジルもルッコラもなくて臍(ほぞ)を噛んだ。仕方がないからトマトとモッツァレラだけで作ったけれど、やっぱりどことなく飽き足らない。



何を食べたいか。自分の中で踏ん切りがつかない時というのがある。この日がそうだった。
お腹は空いているのだ。米の飯か。パスタか。そんなことさえも定まらずに気分がもやもやとしている。

結局、なんとなくバジルの葉を手にとって、トマトソースのパスタにでも、と思った。こういうときは基本に立ち返るのもいいか、と。

そのとき、先日の飽き足らないカプレーゼの記憶が甦ってきたのである。これだ。生トマトが冷蔵庫にある。モッツァレラを買って帰ろう。トマトソースのパスタの具をカプレーゼと同じにすればいい。


8e49a1d5.jpgモッツァレラチーズ。
















75c6d417.jpgバジルとトマト。

これでそのままカプレーゼができる。
だが、これでは終わらない。













314f92df.jpgホールトマトの缶詰は手で潰しておく。

生のトマトは『具』だ。ソースには水煮を使う。














05834e29.jpg包丁の腹で潰したにんにくとオリーブオイルを弱火にかける。















72ac48ed.jpgトマトは湯剥きして適当に切る。

モッツァレラも同じくらいの大きさに刻んでおく。














9f5e0564.jpgにんにくがきつね色になったら、ホールトマトを入れる。

しばらく煮込む。


この辺でパスタを茹で始める。










cadfd792.jpgソースが煮詰まってきたら、パスタの茹で汁を入れてのばす。















b2768642.jpgパスタが茹で上がる直前に生トマトとモッツァレラを入れ、塩。胡椒で味を調える。















e1bc4359.jpg茹で上がったパスタを入れ、パルミジャーノ・レッジャーノのすりおろしを加える。















c3c700c8.jpgしっかりと和え、さらにバジルの葉を散らして完成。















71b17455.jpgのびるモッツァレラ、角が崩れるくらいのトマト。

おいしい。














aff115d2.jpgワインはいつものコノスルである。この日はオーガニックにした。

オーガニックのほうが高いけれど、どうだろう。普通の安いやつのほうがおいしいじゃないか、という気もする。

今度、飲み較べて見ようかと思った。









気分が定まらなかったのが嘘みたいに、盛り上がって食べた。積年の恨みを晴らす、カプレーゼのパスタ。痛快である。

とはいうものの、このパスタはバジルがなくても充分いけるのだけれど。b8724b5e.jpg







朝、ドアを開けて外に出ると、どこからともなく金木犀が香ってくるのだ。
よく晴れた朝の空と、涼しい風とそれに乗ってくる金木犀の香り。
秋本番。実にいい気分だ。

金木犀の香りは強いから、遠くで匂うくらいがちょうどいい。
近くで匂うと、その存在の強さが何となく無神経に感じられて苛立つ。


さて、秋の夜長は、日本酒でも飲もうかという気分になるのである。

bd7495b9.jpgこの日のお酒は『天狗舞』である。

山廃の力強さがいい。














eefe41a4.jpg汲み上げ湯葉。

豆腐が好きだ。湯葉はもっと好きである。これは頂き物なのだが、素晴らしい湯葉だった。

お取り寄せしてもいいかも、と思う。











12bd57aa.jpgこちらはセロリとイカの燻製の和え物。

薄切りにしたセロリとおつまみのいかくんを胡椒とオリーブオイルで和えただけ。

実はこいつが日本酒のアテには最高なのである。










6d22e195.jpgこれは実験的に作ったもの。

ザーサイと挽肉の炒り豆腐。このブログで教えてもらったザーサイ豆腐がすごく気に入ったので炒り豆腐にしてみたのである。
みじん切りにしたねぎとザーサイと挽肉を炒めて、豆腐を入れ、酒、塩、胡椒、醬油で味をつけてたまごでとじて胡麻油をかける。

おいしいのだが、見た目がちょっと悪い。うーん。改善の余地あり。






せっかくの秋のお酒である。日本酒は、壜のままでは味気ない。燗をつけるのはちょっと早いから徳利というわけにもいかない。

やっぱり片口を使う。

5880be5c.jpgもう、このブログではおなじみのわが片口。

白丹波である。天狗舞の山吹色がよく映える。片口にお酒を注いだときの水面が揺れている感じがたまらなく好きだ。












7e524081.jpgこれはぐい呑みとして使っているのだが、実は小ぶりな蕎麦猪口である。古伊万里。

高台が付いている蕎麦猪口。













少し肌寒いような気もするけれど、窓を開けて外を見ながら飲む。

ああ、風が吹いたな、と思う。お酒をちびりと飲む。

いつのまにか空が白んでくる。風の中に金木犀の香りが混ざる。b8724b5e.jpg






d908a6a6.jpgなんとなく、台拭きをかえてみた。

『亀田縞ハンカチ』として売られているものを、台拭きにした。













なんか、とってもいいです。b8724b5e.jpg
8d02ee94.jpg
















もう1か月くらい前の話になってしまった。秋らしい実ものを飾って、お食事会を行ったのである。

今はすっかり秋らしくなったけれど、まだ夏の名残のある9月上旬。秋の到来を祝うかのような感じにしたかった。でもあまりそういう雰囲気にはならなかったような気がする。


21155613.jpg最近はすっかり定番化した、アボカドのディップ。

アボカド、カッテージチーズ、塩、胡椒、レモン汁、マヨネーズで和える。今回はツナは入れなかった。ツナはなくてもよい。

レモンを効かせるのがポイントだ。









55e44e61.jpgじゃがいもとオリーブのサラダ。

茹でたじゃがいも、ブラックオリーブ、ゆでたまご、ツナを塩、胡椒、マヨネーズで和える。













実はこの前菜2種で結構お腹いっぱいになる。ここからどこまで食べられるかはその時のゲストのキャパシティーによるのだ。

さて、ここで今回の目玉。

f09c2eef.jpgコーンスープである。

スープを出すなんて!レストランみたいだ。


このスープは、電子レンジで加熱したとうもろこしをフードプロセッサーで砕いて、牛乳でのばして塩を振っただけの簡単なもの。









特に何も手を加えないから、とうもろこしの味しかしない。そこがミソである。

家で友人を招いてのお食事は、気の置けない感じがいいのだけれど、スープが出てきたら、妙にかしこまった感じになったので、笑ってしまった。


2eec21de.jpgこれも最近は多く登場する『もぐもぐ』のホワイトソーセージ。

いい。おいしい。ふかふかしてる。

食品の安全については暗いニュースが多いから、こうした加工品ほど、信頼できるいい店を近所に持つことは嬉しいことである。

この日も『もぐもぐ』は盛況だった。







7940414d.jpgさて、メインはスパゲティー・ジェノベーゼである。

バジルの葉と松の実とパルミジャーノとオリーブオイルと塩、胡椒をフードプロセッサーでペーストにする。

茹でたいんげんとじゃがいもを具にして、パスタと和える。

ジェノベーゼはほんとにおいしい。冷やした白ワインで。






こうして並べてみると、やっぱり夏っぽいメニューである。
まだ、暑い頃だったから、気持とは裏腹に体がこういうものを求めていたのかもしれない、と思う。というのはコンセプト通りにいかなかった言い訳だろうか。


実はこの日、ゲストが3人。全員女性。
いかにもな女子トークにちょっとついていけない僕がいた。エステの話とか。

残念ながら、僕はエステには行ったことがない。b8724b5e.jpg




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『Pocketful of Poetry』
Mindy Gledhill

この数ヶ月、僕は「ミンディ・グレッドヒルは分かってる!」と叫び続けてきた。この人のアルバムからはポップってのはこういうものさ、という自信が滲み出ていると思う。tr. 2『Trouble No More』がツボ中のツボ。僕の好物ばっかりいっぱい詰まってる。決して大袈裟な表現ではなく、棄て曲なし、最高に幸せな30分あまり。

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『D'ACCORD』
SERGE DELAITE TRIO with ALAIN BRUEL

アトリエサワノのピアノトリオが大好きです。2枚同時発売のうちの1枚。これはピアノトリオにアコーディオンを加えた演奏。明るい休日のランチ。冷えた白ワイン飲みたくなる感じ。

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J.S. Bach/Goldberg Variations
Simone Dinnerstein

ゴルトベルク変奏曲からグールドの影を拭いきれないのは仕方がない。この人の演奏には”脱・グールド”みたいな気負いはなく、曲に対してもグールドに対しても愛情に満ちていて、丁寧で、やさしくてすごく好きです。



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