『ODESSEY & ORACLE』
THE ZOMBIES (1968)
ゾンビーズについて語るとき、僕は涙を流さずにはいられない。この涙はみなさんに見えているだろうか?
ロック史上、最も不遇を託ったアルバムといえば、ビーチ・ボーイズ(というかブライアン・ウィルソン)の『Pet Sounds』で衆目の一致するところと思うが、この『ODESSEY & ORACLE』もそれに引けをとらない。
1964年に英DECCAレコードからデビューしたゾンビーズは、1stシングル『She's Not There』がいきなり大ヒット。ブリティッシュ・インベイジョンの波に乗り、アメリカでも広く受け入れられる。しかしその後は意欲的な作品を発表するも商業的に成功せず、人気は下降。
CBSレコードに移籍後、1968年には2ndアルバム『ODESSEY & ORACLE』を制作するも、完成を待たずボーカルのコリン・ブランストーンが脱退。アルバム完成後、バンドも解散。
翌69年米CBSのプロデューサー、アル・クーパーに見出され、『Time of the Season』をシングルカット。200万枚を超える大ヒットを記録するも、バンドはもうない…。そのためか偽ゾンビーズが出現。ゾンビーズを名乗ってライブ活動を行い荒稼ぎしたらしい。
レコード会社の要請にもかかわらず再結成には応じなかった。
(以上、ネット上の情報をもとにまとめました)
ゾンビーズのかわいそうなのは、その音楽が非常に素晴らしかったところにある。2ndアルバムに先駆けて発売されたシングル『Friends of Mine』にしても『Care of Cell 44(独房44)』にしても、なぜヒットしなかったのかわからない。極上のポップだ。これが売れないなら、どうすりゃいいんだ?という気持ちだったと思う。ほんとに。
アルバム『ODESSEY & ORACLE』はビートルズやビーチ・ボーイズの影響を強く受けた内容だが、メロディーの綺麗さ、コーラス、アレンジ、演奏技術、どれをとっても非の打ち所がないくらい。中心メンバーであるキーボードのロッド・アージェント、ベースのクリス・ホワイトの楽曲はほんとにすごい。レノン=マッカートニー、ブライアン・ウィルソンという先駆者がいるにせよ、充分に革新的だ。
大名盤です。
かわいそうなゾンビーズ…。一歩間違えば一躍時代の寵児になってもおかしくないくらいの内容だったのに。
ちなみに大ヒット曲『Time of the Season』は数年前、日産自動車のCMで使われていたのでご存知の方も多いことと思う。
僕は、クリスの手になる『Friends of Mine』が好きです。
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『Pocketful of Poetry』
Mindy Gledhill
この数ヶ月、僕は「ミンディ・グレッドヒルは分かってる!」と叫び続けてきた。この人のアルバムからはポップってのはこういうものさ、という自信が滲み出ていると思う。tr. 2『Trouble No More』がツボ中のツボ。僕の好物ばっかりいっぱい詰まってる。決して大袈裟な表現ではなく、棄て曲なし、最高に幸せな30分あまり。
『D'ACCORD』
SERGE DELAITE TRIO with ALAIN BRUEL
アトリエサワノのピアノトリオが大好きです。2枚同時発売のうちの1枚。これはピアノトリオにアコーディオンを加えた演奏。明るい休日のランチ。冷えた白ワイン飲みたくなる感じ。
J.S. Bach/Goldberg Variations
Simone Dinnerstein
ゴルトベルク変奏曲からグールドの影を拭いきれないのは仕方がない。この人の演奏には”脱・グールド”みたいな気負いはなく、曲に対してもグールドに対しても愛情に満ちていて、丁寧で、やさしくてすごく好きです。